加わらねば仕事が回らぬ太子講
どんな伝承か
大工や左官、屋根葺き、鍛冶屋、桶屋、樵、木挽といった職人たちが集まって夜を明かす日待ちに、太子講がある。聖徳太子を本尊に掲げ、同業が膳を囲みながら賃金の取り決めを申し合わせる場でもあった。もとは材木にかかわる職人だけの講だったらしく、旧東小椋村の太子講では、その年の講親が講員をひとり残らず招いて馳走を出す一方、木材を扱う職人はこの講に加わらなければ仕事をいっさい進められなかったという。関東北部の山村では、職人に限らず広く山稼ぎの者が加わる講になっていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・平山敏治郎・堀一郎ほか・日本民俗学大系・昭和(民俗学))
『日本民俗学大系 第8巻 信仰と民俗』。原田敏明・池上廣正・平山敏治郎・堀一郎らによる十論考からなる日本民間信仰の総合的研究。原田敏明「総説」は信仰と民俗、宗教の起原(スペンサーらの学説・アニミズム)、村の信仰と都会の宗教、シャマニズムを論じる。池上廣正「霊と神の種類とあらわれ方」は神の種類(名社大社の祭る神・雑神)、神のあらわれ方、霊の種類(人霊・自然霊)・霊威、農と神・田植えの儀礼を扱う。