垣見の村には、竹やぶがぎょうさんあってなあ
どんな伝承か
垣見の村には竹やぶが多く、その間を川が流れ、澄んだ水が道すれすれに流れていた。この川には昔からカワウソが住み、道を通る人に水をかけたり川に引きずり込んだりするとよく言われていた。ある晩、本庄の人がそこを通ると、突然、人力車をひいた車夫が飛び出してきた。カワウソが化かしに来たに違いないと思い、タバコに火をつけて煙を吹きかけると、車夫は驚いて消え、川へドボーンと飛び込んだ。安心しているとまた同じ姿で出てくる。繰り返すうち手足が重くなり、力を振り絞って国領の鍛冶屋の家までたどり着いて助けてもらい、一か月ほど寝込んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。