大火の風向きを変えた札うちの青竹の杖
どんな伝承か
出雲の三十三ヶ寺をめぐる札うちでは、節が七つある青竹の杖をついて歩く。一番上の節から先は十センチほど空けておき、そこに観音の御利益が入るようにと願うのだという。打ちおさめの寺で杖を洗い、札を巻きつけて納めるのが決まりだが、この杖は火難除けの守りになるといって家へ持ち帰り、床の間に飾る者もいた。十年ほど前、今市に大火があったとき、ある人がその杖をかざして振ったところ、にわかに風向きが変わり、火は燃え移らずにすんだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの(出雲市(編)・自治体史(民俗))
『島根県出雲市大塚町民俗調査報告書』所収の俗信・憑きもの・民間療法。出雲平野の大塚町に伝わる心意現象を採録する。カラスの鳴き声で天候を読むアレガラスの予兆、イチヂク・ビワを植えぬ・便所に南天を植える屋敷の禁忌、キツネに憑かれることを『サバラレル』という狐憑き、繁盛するゆえ嫉まれ村八分で結婚に難のあった憑きもの筋『キツネモチ』、着物の裾を結わいたり小豆を井戸に落とすものもらいの呪術的民間療法などを収める。