キンモクセイを登る蛇は弁天さん
どんな伝承か
大塚町のある家では弁天さんを祀っている。弁天さんは水を司る神で、もとは池の中においでになったと言い伝えられてきた。その祠のそばに立つキンモクセイの木には、下からしばしば蛇が現れて幹を登っていくため、あの蛇こそ弁天さんの姿ではないかと語られている。祀り日はいずれの家も四月一日で、畑から採った季節の野菜を供え、弁天さんの前に夕方まで旗を立てておく。別の家では大きな餅を搗いて、近所に配るのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの(出雲市(編)・自治体史(民俗))
『島根県出雲市大塚町民俗調査報告書』所収の俗信・憑きもの・民間療法。出雲平野の大塚町に伝わる心意現象を採録する。カラスの鳴き声で天候を読むアレガラスの予兆、イチヂク・ビワを植えぬ・便所に南天を植える屋敷の禁忌、キツネに憑かれることを『サバラレル』という狐憑き、繁盛するゆえ嫉まれ村八分で結婚に難のあった憑きもの筋『キツネモチ』、着物の裾を結わいたり小豆を井戸に落とすものもらいの呪術的民間療法などを収める。