向方村の狐憑きとオーサキの名
どんな伝承か
関東で恐れられたオーサキ狐は、長野県も分布地の一つに数えられてきた。ところが県史の民俗編を繰っても、そこに出てくるのはクダやイイズナといった名ばかりで、オーサキという呼び名は見当たらず、いずれも狐憑きとして一括りにされている。近世の記録でも事情は同じで、南信地方の史料を集めた巻には、伊奈郡向方村で起きた狐憑きの一件が元禄七年の文書として収められているが、そこでもオーサキ狐という語は使われていない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近世史料にみる憑き物「オーサキ狐」の諸相(小池信一・現代(昭和後期〜平成の研究論文))
埼玉・群馬を中心に分布した憑きもの『オーサキ狐』の俗信を近世史料から検証した研究。オーサキ持ちの家を富ませ人に憑いて熱病にするという俗信を概説し、寛延4年・天保6年・慶応3年の追放史料を紹介。為政者が縁組や質入れの弊害から迷信として追放させた歴史と、幕末の村を巻き込んだ尾崎狐訴訟事件を扱う、憑きもの俗信の歴史民俗学的記録。