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番匠村溜井の境界争い

所在地埼玉県比企郡ときがわ町大字番匠
年代慶応三年(一八六七)
登場百姓甲、村役人、医光寺法印
出典近世史料にみる憑き物「オーサキ狐」の諸相

どんな伝承か

慶応三年の夏は稀にみる旱魃で、田畑の作物は枯れて収穫がなく年貢納入にも差し支えるほどであった。そこでこれを機会に溜井の修覆をしようということになり、村内の溜井を点検したところ、甲の居屋敷の脇に古い溜井があった。十二、三年前に境界がはっきりせず争論の末に杭木を打ったが、その後放置していたので再び境界が分からなくなっていた。甲に断って改めようとしたところ、甲は溜井中央の山椒の木の所まで自分の土地だと言い張って聞き入れない。村役人や医光寺の法印を仲介人に立てても一向に応ぜず、地頭の御見分を受けた上でなくては承知できないと言い残して江戸へ出かけてしまった。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

近世史料にみる憑き物「オーサキ狐」の諸相(小池信一・現代(昭和後期〜平成の研究論文))

埼玉・群馬を中心に分布した憑きもの『オーサキ狐』の俗信を近世史料から検証した研究。オーサキ持ちの家を富ませ人に憑いて熱病にするという俗信を概説し、寛延4年・天保6年・慶応3年の追放史料を紹介。為政者が縁組や質入れの弊害から迷信として追放させた歴史と、幕末の村を巻き込んだ尾崎狐訴訟事件を扱う、憑きもの俗信の歴史民俗学的記録。

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