猫が口をきいた話
どんな伝承か
爺さんと婆さんと娘だけの家で猫を飼っていた。爺さんが留守番をし、婆さんと娘は義太夫を聞きに行って留守だった。爺さんが「タマえ、今夜は婆さんと娘が義太夫を聞きに行ったが、何を語るかな」と言ったところ、「お染久松」と答える声がした。誰もそこには居なかったのに確かにそう言ったのである。そのへんで婆さんに会って聞いてみると、やはり語られたのは「お染久松」であった。それで恐ろしくなってしまったという話をしたものだ、と話者は語る。だから猫はあまり長く飼うものではない、化けるから、と言われている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
向原の民俗 上――昔話・伝説・怪異(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告・民俗調査報告)
『向原の民俗 上(民俗調査報告第9号・第10号)』第IX章口承文芸所収の昔話・伝説・怪異。山梨県南都留郡の向原・明見地区に伝わる口承を採録する。