丙午を恐れ高騰した赤蛙と蝮
どんな伝承か
丙午生まれの女を忌む俗信は明治三九年の丙午まで尾を引いた。当時の東京日日新聞は、その年が丙午だというので出産を恐れる者が多く、赤蛙と縞蛇と蝮の三種を製薬調合して服せば懐胎しないと言い触らす者まで現れたため、これらの虫類の値が高騰したと報じている。記事は下谷万年町の赤蛙屋の談として驚くべき高値の相場を並べ、蝮と縞蛇は秩父産を主とし、その他は行徳付近から捕えてくるものだと伝える。医科大学や理科大学が解剖用に買い上げる分も少なくないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。