一夜待っても現れぬ不知火
どんな伝承か
井上円了は、迷信を利害の有無で仕分けるなかで、肥後の不知火や越中の蜃気楼を、あれこれ妄説が付いてはいるが害も利もない部類に入れている。円了自身、先年、肥前の島原に滞在していたとき、ちょうど不知火の季節にあたるというので人に誘われ、夜半すぎに海岸へ出て夜明けまで海上を眺め続けた。しかしその夜は不知火が現れなかったという。この地方の人々は半ば面白半分に見物に出かけるだけで、恐ろしいとも怖いとも思っていない、と円了は書き添えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・明治(妖怪学))
『妖怪博士』井上円了による『迷信の諸相・宗教の真相』。迷信を道理に背くことを誤って信じる心理と定義し、妖怪学の立場から全国を巡遊して各地の迷信を実地に報告・批判する(迷信打破)。