竹藪のナワノスジで鳴った天狗の音
どんな伝承か
大多和の寒川虎一が語った話である。虎一の家の長屋門には向井某という男が夫婦で住み、ふだんは虎一の家の田を耕したり、頼まれ仕事に出たりしていた。この男は博打が好きで、ある晩、いつまでたっても帰ってこない。心配した妻が山を下り、竹の生い茂ったあたりまで様子を見に行くと、大きな音がして竹が一斉にざわめきはじめた。妻は髪の毛が逆立つほど恐ろしくなり、ほうほうの体で逃げ帰り、そのまま寝込んでしまった。竹藪のあたりはちょうどナワノスジ、つまり妖怪の通り道にあたるので、天狗が出たのだろうと村人は噂しあった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌(武田明・高橋克夫ほか・現代(民俗誌))
香川県長尾町前山地区(ダム建設で水没した地区)の民俗誌。