怪談会での霊現象と中嶋さんの細君の急死
どんな伝承か
海会寺での怪談会が夜半を過ぎたころ、闇の中から提灯を下げた車夫姿の老人がぬっと現れ、一同は殺された巡礼が人の姿で出たかと総立ちになった。車夫は会員の中嶋さんの家から頼まれて来たと言い、急病人が出たので急いで帰るよう告げた。中嶋さんは町の料理屋の主人である。一同は気味悪くなって会をやめたが、翌朝問い合わせると、前夜まで元気だった中嶋さんの細君が急に胸の痛みを訴え、医者を待つ間もなく店の間で狭心症により急死していた。数日前から頭痛で酒を断っていたという。町じゅうが騒ぎ、著者は以後怪談会はやるまいと心に誓った。
原典より
翌朝中嶋さんのうちへ電話をかけてきくと昨晩まで、何事もなくてピンピンしていた細君が突然胸がいたいといいだして医者のくるのも待てずに店の間で苦悶して急死してしまったという。—— 霊界五十年(長田幹彦) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊界五十年(長田幹彦)
『霊界五十年』は、長田幹彦が自らの心霊体験を一人称でつづった随筆集である。霊媒亀井三郎の実験に立ち会った話に始まり、大正十四年に東京中央放送局で見た変死した技師の霊、自殺者の霊、神隠し、心霊写真、死者の霊との交わりなど、長年にわたって見聞きした出来事を語る。「亀井霊媒の実験」「放送局の幽霊」「霊界夜話」「幽霊のキスマーク」などの短い章を連ね、心霊研究の知人や医師との問答を多く交える。