溺れかけたひとのみち信者
どんな伝承か
あるひとのみち信者が、静岡県の清水へ魚釣りに出かけた。横波を受けたものか小舟が転覆し、彼は海中に投げ出された。万事を神まかせにしていて泳ぎも知らなかったため、潮水をたらふく飲んで溺れようとしたが、それを目撃した船頭によって死の一歩前で助けられた。ところがこの信者は、帰京しても一言の挨拶もよこさなかった。土地の人は礼儀を知らない奴だと言い、皮肉に「なぜその時にお振替を願わなかったのだろう」と評したという。もっとも、ひとのみちに言わせれば助けられたこと自体がお振替のおかげだというかもしれない、と著者は記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判・昭和(戦前))