溺れかけたひとのみち信者
どんな伝承か
あるひとのみち信者が、静岡県の清水へ魚釣りに出かけた。横波を受けたものか小舟が転覆し、彼は海中に投げ出された。万事を神まかせにしていて泳ぎも知らなかったため、潮水をたらふく飲んで溺れようとしたが、それを目撃した船頭によって死の一歩前で助けられた。ところがこの信者は、帰京しても一言の挨拶もよこさなかった。土地の人は礼儀を知らない奴だと言い、皮肉に「なぜその時にお振替を願わなかったのだろう」と評したという。もっとも、ひとのみちに言わせれば助けられたこと自体がお振替のおかげだというかもしれない、と著者は記す。
原典より
横波を食ったものか小舟が転覆して、彼は海中に投げ出された。—— 邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判)
『邪教に迷はされた人々』は、邪教撃滅聯盟の発意により浅野研真・島影盟・広木勇郎・好村春基が協同で編んだ本である。天理教・ひとのみち・生長の家・大本教などに迷って、病人が医者から遠ざけられて死んだ話、精神を病んだ話、行者に辱められた話、家や財産を失った話を、遺族や民生委員の手記、『大法輪』『婦人公論』昭和十一年の記事などから集め、八類に分けて並べる。後半に島影盟の邪教弾圧史と田所通世の取締法規の解説を付ける。