日本における憑きもの
どんな伝承か
日本で人に憑くとされるものには、狐蠱・蠱毒・蛇蠱など大陸の影響を思わせるものもあるが、種類は多く、やはり狐・犬・蛇の三つが多い。古い時代の悪霊は具体性に乏しいため、最近の例をみよう。島根県松江地方法務局が人権擁護の立場から七十四名の委員に依頼した「狐もち」「犬神もち」に関する調査資料(昭和二十八年)には、次のような例がある。昭和二十三年十一月、当時三十二歳の女性が突然頭痛を訴え、大峰山系の祈禱師を迎えて加持祈禱を受けたところ、誰の目にも見えなかったが、祈禱師の前に白狐が現れたという。数日祈禱しても病人は身ぶるいが止まらず、色事を口走ったが、二十日ほどで退散した。世の人はこれを人狐の業だと伝えている(仁多郡M村)。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗・近代〜現代(民俗研究))
淫祠(みだらなる神仏・エロ教団の実態・はだか弁天/くすぐり弁天/おめこ大黒など性的み仏)、道祖神信仰と金精さまの地方色、邪教・新興宗教(璽光尊・殺人教ほか)、SEXに関する異妖迷信、妖術・忍術・魔術、憑霊現象と特殊家系(憑きもの筋)、心霊術・読心術・催眠術、妖婚、妖異性愛風俗まで、日本の性と妖異の民俗を網羅。