室の中を歩く石
どんな伝承か
大阪市住吉区阿倍野筋一丁目に、山本照美という素封家の未亡人が住んでいた。子は長女政子、長男政重、次男政隆の三人である。その夏、照美は子供たちのために庭へ小さな池を掘って金魚を入れ、周囲が淋しいので拾ってきた鶏卵大の石十六個を置いた。うち一個だけが赤みがかっていた。二日目の朝、金魚は皆死んで浮いていた。池の水を乾した九月二十六日の夕方七時頃、奥の六畳へ行くと十六の石が室の中に円く並び、少しずつ動いていた。四人は二階へ逃げ、そっと覗くと、赤い石を先頭に石は室を廻り、敷居から縁側へ落ちはじめた。噂が広まり阿倍野署が調べたが、石は既に捨てられ子供の石蹴りに使われていた。
原典より
* 本所の怨念石 (359)* 墓石の戒名 (361)* 幸福の家 (362)* 商売の繁昌する家 (364)* 招く松の木 (365)* 別れに来た細君 (366)* 細君の姿が現われる (…—— 日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年))
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