大蟹の背に座るお種の幻
どんな伝承か
お種の求婚者だった猪作は、彼女が消えたほど落ちの池を探るうち、水面に赤い血が広がり、右腕を切り取られた姿で浮きあがって死んだ。お種の家では彼女のいなくなった日を命日と定めた。お種を慕っていた伝蔵は、ある雨催いの晩、日浦坂で『来な、来な』と呼ぶ声を避けて別の坂を越え、巫女ヶ奈路という窪地で官女や武人、宮殿、仏像と姿を変える幻を見た末、十二畳敷ほどの大蟹の背にお種が腰かけているのを目にし、飛びかかろうとして気を失ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(二)(田中貢太郎・日本の怪談シリーズ・明治末~大正期(推定))