安政の大獄で志士探索に働いた九条家家臣島田左近が
どんな伝承か
文久二年七月二十三日の夜、九条家の家臣島田左近が木屋町三条下ルの町で激徒に襲われて殺された。片腕を斬り落として高瀬川に棄ててあり、後に貯えを調べると十五六万両もあったという。これが京都における暗殺の始まりであった。ほどなく勤王家として知られた本間精一郎も殺されて四条河原に梟首され、標札には妖言をもって衆人を惑わしたなどと書かれたが、これは当時から誤解とされた。二十二日の夜には九条家の諸太夫宇郷玄蕃頭が砂川の別邸で斬られ、首は松原東橋詰に晒された。九月には目明し文吉が三条河原に、二十四日には与力渡辺金三郎と同心二名が粟田口の刑場に晒された。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奇談全集 現代篇(田中貢太郎・奇談全集・大正~昭和初期(推定))
本書『奇談全集 現代篇』は、田中貢太郎による幕末から昭和初期にかけての日本各地の怪談・奇談を集成した作品である。明治維新期の松木事件から関東の連続殺人鬼事件まで、実地取材に基づく歴史的事件の記録と、民間に伝わる幽霊譚・怪異現象が混在している。特徴は、単なる怪談の創作ではなく、実在の地名・人物・事件を背景に、社会的矛盾や人間の怨恨が生み出す超自然現象を描く点にある。