豊川稲荷を呼ぶコックリさん
どんな伝承か
失せ物や心配ごとなどがあるとき、自分たちで稲荷を呼んで占いをした。これをコックリさんと呼ぶ。半紙に四十七のマスを書いてイロハ四十七文字を記し、箸三本の上部を糸で軽くしばって、その上に小さい鏡を下向きにのせる。三人がそれぞれ箸を一本ずつ指先で軽くつまみ、半紙の上にすれすれに浮かして持つ。このとき鏡は絶対にのぞいてはならない。部屋の戸をあけ「三州三河の国豊川稲荷大明神、急用ができましたのですぐ来てください」と呼び、「おいでになりましたか」と言うと、三人の手が自然に動いて「え」の字を指す。以後、失せ物の在処などを問うと、箸の先が動いて字をつぎつぎに指し、教えてくれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ・1980年代-1990年代推定)
本書は群馬県渋川市の民俗編として、地域に根ざした信仰体系と死生観を記録した資料である。民間信仰と俗信を既成宗教以前の下部構造と位置付けた上で、死の前兆(人魂現象、予知)、生死の境での異世界体験、死後の蘇生・生き返り、転生輪廻などの多様な事例を収集している。特に行幸田地区では生き返り事例が集中し、地域固有の信仰と関連する可能性が高い。