窓の格子から家を覗く亡夫
どんな伝承か
戦争前の話だという。平井先生の伯母は、合浦公園の向こう側にあたる造道に住んでいた。伯母の夫が亡くなって幾日か経った夜、隣家の人が用を足して小路を歩いて戻ってくると、道に一人の男が立ち、伯母の家の窓の格子に顔を押しつけて中をじっと覗き込んでいた。家の中の電灯に照らされたその横顔は、何日か前に死んで埋葬されたはずの、その家の主人にほかならなかった。小さな子を残して逝ったのだから、気がかりで様子を見に来ていたのだろうと、人々は語り合ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。