胸を押さえる姑と食事の供養
どんな伝承か
昭和十九年、空襲より前の話である。回答者の父は大阪市大淀区黒崎町で寺を営んでいた。その檀家の一軒で老いた女が亡くなり、二七日を過ぎたころ、家の嫁が寺を訪ねてきた。毎晩のように亡き姑が現れ、胸を押さえつけて睨むので、恐ろしくて眠れないのだという。父は仏前をお参りしたうえで、生前に食べ物を供えていなかったのだろうと問い、これから一週間は自分の食事も同じように供えるようにと勧めた。言われたとおりにすると三七日にはもう現れなくなり、嫁は喜んで寺へ知らせに来たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。