草道から戻った近吉じいさん
どんな伝承か
高知県室戸市佐渡浜町根丸に住む近吉じいさんは、一生のうちに三度も四度も死んでは生き返るという不思議な人だった。ある時とうとう息を引き取り、身寄りのない彼を村人たちが夜通し見守っていると、日頃親切に世話をしていた隣人の鹿野が朝早く「良い所へ行きなさい」と声をかけたところ、じいさんが「今あの世から戻ったぞ」と目を覚ました。後で語ったところによると、果てしない草原の一本道を歩いていると、鹿野の呼ぶ声が微風に乗って聞こえ、それで生き返ったのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。