亡魄と語る
どんな伝承か
語り手自身にも不思議な話がある。明治三十八年の初夏と記憶するが、日頃深く敬慕しながら忙しさに通信を怠っていた畏友・清澤満之師が、ある夜突然、京都の自分の寓居の縁先の障子を開けて入って来た。何か一言二言話したと思ったら、それはただ一場の夢であった。不思議だと気にしていると、翌々日、師が病の養生の甲斐なく逝去したとの訃報に接した。不思議に驚くというより、故人の変わらぬ厚情に深く感謝したのだった。これはかつて大阪毎日の譚叢にも載せられた話であると述べている。
原典より
明治三十八年の初夏であつたと記憶するが、日頃心に深く敬慕しながら、つい忙しく通信を通じなかつた畏友清澤満之師が、一夕突然自分の京都の寓居の縁先の障子を開けて入つて来た。—— 心霊現象の文献と其科学的研究(心霊学研究会・心霊研究・死後の生活) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象の文献と其科学的研究(心霊学研究会・心霊研究・死後の生活)
『心霊現象の文献と其科学的研究』は、欧米の心霊研究と死後の生存をめぐる論説を集めた解説書である。ロッジやマイヤーズの心霊研究、霊媒と交霊、死後の生活を科学・医学・仏教・キリスト教の立場から論じる文章、輪廻転生、幽霊と幻覚、透視・テレパシー、神憑り、霊媒ユーザビアの実験、霊能を装う詐術、自動書記や棒占いを扱う。「心霊論者の主張」「死後の生活」「不思議の現象と心理研究」「驚異の心霊現象自動現象」の四篇に分け、各節を多くの小見出しで区切る。