トップ山口県の伝承岩国市

某氏、正月に雑煮餅を煮たる事

所在地山口県岩国市
年代江戸期
登場旧藩中老某と下僕
出典岩邑怪談録

どんな伝承か

岩国の旧藩中老某の家で、正月元日に主君の館へ早朝出仕せねばならぬ下僕が、髭を剃られるのを面倒に思って舌を出したところ、その影が鏡に映った。主人はこれを無礼として台所で下僕を斬り殺し、その血が雑煮の中に散って真紅になった。以後、正月三が日に雑煮を煮るたびに必ず真紅になるため、以来焼餅で祝いを済ませるようになったという。冤罪で死んだ怨霊は年を経ても消えないものだと語り伝えられた。

原典より

旧藩中老某の家、正月朝突く、下僕に命じ鬚を剃らしめしに、下僕、正月元日、旧藩主の館に早朝出仕するは毎年の例なる故に、今となり鬚を剃るはもどかしく思ひしにや、窃に舌を出しけるに、其影、主人の前にある鏡に映りければ、こは無礼…—— 岩邑怪談録(広瀬喜尚(編:藤田葆/増補:今田純一/付録:静間密)・天保年間成立・明治期増補(原本明治四十三年成稿)/昭和51年(1976)岩国徴古館刊) より引用
地図で位置を見る

※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

岩邑怪談録(広瀬喜尚(編:藤田葆/増補:今田純一/付録:静間密)・天保年間成立・明治期増補(原本明治四十三年成稿)/昭和51年(1976)岩国徴古館刊)

岩国藩士・広瀬喜尚(仁兵衛、天保頃の博識家)がまとめた郷土怪談集を核に、明治期に今田純一(散木園主人)が二十余条を増補(追加)し、さらに藤田葆が古老聞き取りの『続怪談録』・歴史的瑞兆を集めた『実事談』・幼童の変死記録を集めた『変死部』を継ぎ、巻末に静間密の怪火・投石怪五話を付録とした、岩国・錦見・横山周辺を舞台とする総合怪異録。

種別から探す

雑煮怨霊正月

岩国市の伝承

同じ種別の伝承

同じ文献『岩邑怪談録』の伝承