メレ夫人のすすり泣く声
どんな伝承か
画家の堀文子から聞いた話。旧軽井沢から碓氷峠へ向かう山道を三十分ほど歩いた雑木林の奥に、軒の朽ちかけた洋館があった。数年間人の住んだ形跡がなく、錆びついた鍵を開けると室内には蜘蛛の巣が張っていた。管理人の老人によれば、そこは数年前までメレというフランス人の別荘で、病妻を看取ったメレ氏が帰国した後、空き家になったという。貸別荘として借り主が現れるが、三日と住まずに出ていく。床下から女のすすり泣く声が聞こえるためで、管理人の老人もその声を聞いたという。堀は泣き声こそ聞かなかったが、この別荘で一人約一か月を過ごしたと語った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・昭和(怪談集成))
日本各地の幽霊・人魂・生霊の実話怪談を十章+幽霊外伝に分類して集成する。