西久保
どんな伝承か
清水市西久保のSさん(七十二歳・女)が、往診を受けていた医師のもとへ柿を届けに来た。前夜、亡くなった夫が夢枕に立ち「先生のとこへ柿を持ってけよ」と言ったのだという。夫は脳血栓で長く療養し、狭心症の発作や肺炎を繰り返して、亡くなる一か月前からは毎日のように往診を受けていた。夫がまだ元気だった頃に接木した柿の木が、その年になって初めて実を結んだ。夫が世を去ってからちょうど六年が経っていた。Sさんはその柿を懐かしく手にし、医師にも分けてくれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。