時計の十時が分からぬ男の呟き
どんな伝承か
外神田仲町の村上辨蔵が、一昨日は東京裁判所へ呼び出されながら遅刻したため、今日は下がるようにと申し渡された。ところが不承知の様子なので、それなら時計を見よと示されたが、時計を見ても五ツがどれで四ツがどれやら少しも分からないと呟いている。そこへ折よく十時の鐘がチンチンと鳴った。今の数はちょうど十だ、昔は十という時刻はなかったがなあ、と言ったという。当時の新聞が短く伝えている。
原典より
回答者・中村博(東京都在住)。—— 現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考・1990年代初期(平成初期)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考・1990年代初期(平成初期))
松谷みよ子『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』を小話単位で全550話収録。心霊写真など写真の怪と、文明開化期の怪異にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明377話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。