私の父の兄さんになる人でね、私の舅(しゅうと)さんな
どんな伝承か
滋賀県坂田郡伊吹町での話。語り手の舅にあたる人が若い頃、藤川という村へ浄瑠璃を習いに通っていた。昼の用を済ませてから夜に出るので遅くなり、一二時ごろ山道を帰ってきた。線路の上にある道を、浄瑠璃を謡いながら帰ってくると、月のよい夜で、大きな木の陰に男が向こうを向いて座り煙草を喫んでいる。豆絞りの手拭いをかぶって「よう、一服あがり」と声をかけてきた。気味が悪かったが傍を通り過ぎ、もう少し行くと後ろでワーッと笑う。驚いて振り向くと、顔中が口で目が何もなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。