昭和六二年七月のこと
どんな伝承か
昭和六十二年七月、長野県埴科郡坂城町でのこと。裏山の崖にあった横穴式の防空壕の跡に猫が集まるといい、子どもたちの間で話題になっていた。ある日、五年生の孫が息を切らせて「また猫が会議をしている、Tさんの猫二匹もいる」と知らせてきたので行ってみると、十数匹の猫が輪になって座り、声も出さず顔を見合わせていた。数日後、Tさん宅の猫二匹が姿を消したと孫が知らせてきた。それを聞いた語り手は、あの日の集まりはこのことを相談していたのではないかと思い当たった。Tさん宅では家族の折り合いが悪く、家の中に何か悪い気配が漂っていたといい、猫はそれを嫌ったのだろうかとも語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代推定)
松谷みよ子『現代民話考 10 狼・山犬、猫』を小話単位で全541話収録。狼・山犬・猫にまつわる現代の民話・怪異譚(送り狼・化け猫など)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明535話・市区町村判明490話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。