天狗が加える危害のうち、石川郡の白峰村では「天狗の剣
どんな伝承か
天狗が加える危害のうち、石川県石川郡の白峰村では「天狗の剣にかかる」ということを説く。山中で原因不明の怪我をしたり死を遂げた場合、天狗の剣術の剣にかかったためだとするのである。戦後間もない頃、白峰の女土工が朝の仕事始めに転倒して太股を打ったが、気にもかけずセメント袋を担いで一町ほどの山道を登った。仕事場で袋を下ろして太股に触れると出血しており、モンペには異常がないのに太股が鋭利な刃物で切られたように深く裂けていた。同じく戦後、白峰の女土工が谷川へ水を汲みに下りたまま帰らず、同僚が見に下りると頭を粉砕されて死んでいた。平坦地で落石の様子もなく、これも天狗の剣にかかったに違いないと噂されたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。