この話は、まっことの話じゃけん伝えちょきますらあえ
どんな伝承か
高瀬口に舟着きのあった頃、隣に豊蔵という舟乗りがいた。妻のおつるは夫を溺愛し、炭を積んだ舟が川を下って見えなくなるまで見送り、翌朝の積荷の支度をすませては川下を向いて夫の帰りを待った。晩春のある夕方、生ぬるい風でおつるの前がまくれ、押さえた手にぬるりとしたものが触れて、金切声をあげて倒れた。駆けつけた小船運送屋の元締め渡辺庸太郎夫婦に、夢のようだと語ったという。年を越して翌年、おつるは大層な難産で子を産み、二日目に立ち会った医師の門田雄哉は不思議な赤児を見たといった。おつるの産んだ児は猿猴であったそうな。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。