鉄牛禅師の墓塔に巻きついた大蛇
どんな伝承か
昔この地には椿の大木があって魔王の住みかとなっていたが、香取大明神や玉崎明神に討たれた魔王が大椿を引き抜いて逃げ、その跡が周囲十里半にも及ぶ椿の海になったという。湖の主は大蛇であったが、干拓で住む所を失うと城山へ上がって悪さをはじめ、鉄牛禅師の墓塔に尾を巻きつけて夏目の堰の水を呑み干し、人々を困らせた。福聚寺の和尚は、行き場がないなら堰の中に弁天様を祀るので、そこに鎮まって干潟一帯を守ってほしいと情け深く言い聞かせた。大蛇は過ちを悔いてそこに落ち着き、以後は近郷近在を守るようになったと伝えられる。
原典より
周囲十里半(約四○キロメートル)に及んだ椿の海には、当時大蛇が主として住みついていたが、干拓によって住む場所がなくなり、この城山に登ってきて悪事を働くようになった。—— 東庄町史 下巻(東庄町) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東庄町史 下巻(東庄町)
『東庄町史 下巻』は、下総の香取郡東庄にあたる千葉県東庄町の町史下巻のうち、「民話・伝説」の項である。須賀山の地名伝説、高部と羽計の狐の祝言、城山の大蛇、花香稲荷縁起、黒部川と児塚の由来、干潟十八ヶ村の名付け、姥捨ての定命窪など十五の項を収め、小南の七不思議や東庄七井の一覧も含む。半数あまりの項に伝承地の区名を添え、『かぎろひ』記念特集号や『県民の森の歌』、「上代郷明細記」「東荘志」、旧家文書などの出典を記す。