向ヶ岡へ消えた老翁
どんな伝承か
日本武尊が蝦夷征伐の途次、武蔵国へ軍を進めて北野のあたりに駐屯したとき、狭山丘陵に続くこの原には水が無く、従者たちは八方に分かれて水を探した。そこへ突然、白髪の老翁が現れ、杖を叢の中に立てて「この地下を掘り参らせよ。さらば必ず浄水を得べし」と告げた。渇きに苦しむ従者たちが喜んでその地下を掘ると、水晶のような水が湧き出したので、一杯を尊に献じ、自分たちも喉を潤した。以来、里人はこの井を「日本武尊の御手洗井」と名付けて旧蹟として保存している。教え終えた老翁は風のように飄然と南の丘の方角へ去ったので、その丘を「向ヶ岡」と呼ぶようになったと言われている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
行楽と史蹟の武蔵野(寺島裕・昭和初期(1920年代~1930年代))