西ノ泊の集合倉庫
どんな伝承か
昭和六年四月中旬、釜山から対馬へ渡った柳田は、豊崎村の比田勝に上陸してまず西ノ泊という部落を訪れた。村のはずれの少し高みになったところに、木造建築の倉が幾棟か並んでいる。家々では衣類のような物までここへ納めておくということで、大きな鍵を持って現に婦人の物を出していく者も見られた。この島一円の風だというが、他では見ることができなかった。東北では会津の檜枝岐をはじめ、こういう例のあることを折々聞いている。スイスでもジュネーブの滞在した旅館から川向こうに、これとよく似た木の倉がたくさん建っていた。火事を避ける目的に違いなく、あちらでも敷地のすぐ隣は墓地であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第3巻』を全158話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。