若狭湖岸・信州高府街道の雉
どんな伝承か
信州の高府街道は犀川から支流の土尻川の岸に沿って越える山路で、水分れの高原には青具という村があり、五月末には桃・山吹・山桜が盛りであった。そこから下ると真っ黒な火山灰の岡を開いた菜種畑が一面に広がり、やがて淡緑の唐松林となって日本アルプスの雪の峰が連なって見える。この間で雉が啼いており、細かな花崗岩の砂になった山の斜面を音も立てずに車で下ると、路上に出て遊ぶ雉が急いで林の中へ入ってゆく羽毛の鮮やかな後ろ姿を見たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第2巻』を全331話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。