名を呼んではならぬ鳶と雉
どんな伝承か
その物の名を口にしないという、忌みことばの最も古い形がある。本当の地名を呼ばずに名知らずの塚、イワズの森、オイワズの島と呼ぶのがそれで、佐渡の国仲では鳶をユワズ——不言と言い、鹿児島の獅子島にある七郎岳では雉を言わずの鳥と呼ぶ。うっかり名を口にすれば、神霊はもちろん鳥や獣までも人の言葉を解して思わぬことになる。名と物とが分かちがたく結びついていた言霊の信仰につながる習わしである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。