炭で御馳走・炭を手で取る逸話
どんな伝承か
炭は足利時代の末頃まで、京都の武家ですらなお御馳走の一部分であった。火箸で炭を挟むことを知らなかったという話も伝わる。若い時にある大家に奉公していた女性が、「私は炭は手で取るものとばかり思っていた」と言うのを聞いて、手が汚れて困っただろうと不審に思うと、「それではもう此節の炭は、油を引いて紙で拭ってはおかぬのか」と、かえって驚いたという。これも織田信長の料理人の逸話と同じく、成上がり武家の俗悪を冷評した、いわゆる一つ話の一つであろうと著者は見ている。もともと炭は趣味のもので、深山を出て町の生活に加わったものであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第2巻』を全331話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。