尚徳王と久高の祝女、海に隠れる
どんな伝承か
また向徳王という若い武勇の世の主があった。ある年の行幸に、この島の祝女の艶なる色香になずんで永く逗留している間に、都は乱れて王妃も王子も乱軍の中に失われ、衆に推されて英傑金丸が立って王となった。これを聞いて尚徳王は、あるいは憤って自ら世を早められたともいい、あるいは還御の船が覆って海に隠れたまうとも伝えられる。尚巴志王の花やかな統一事業はこうして跡が絶えてしまった。しかも今に至るまで、久高の島人が前朝を慕う情はまさしく一篇の詩であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。