久高島シナグルカナイの寶貝採取
どんな伝承か
沖縄諸島のように頸飾りの習俗が久しく伝わった社会で、あれほど豊富に産出し変化の奇を極めた宝の貝を、わざと避けたかと思うばかり利用の外に置いていたのはなぜか。察するにこれは、島々に分れ住した貧しく力弱い人々にとって、自ら愛用するにはあまりにも貴重な宝の貝であったため、それを自分の頸飾りにすることのできぬ年月が長かったからであろう。強力な中原の王者は万策を講じて遠い海の果てからこれをたぐり寄せた。支那で東夷といい島夷といった方面において、その最も明らかな痕跡を永く留めたのは沖縄の諸島である。久高島のいわゆるシナグルカナイなどは、伊波氏の論文にも詳しく説かれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。