泊の製塩場へ鹵汁を汲みに通う女たち
どんな伝承か
田舎の邑里にも二里一里の間に真の豆腐屋がいずれできるだろう。そんな未来には構わず、村々の貞淑な女たちは黙って豆腐を作り、半分を売っている。首里から岡を越えて那覇へ出る道を、晴れた日には幾人となく桶を頭に戴き、泊の製塩場に鹵汁を汲みに往来するのは、いずれも白い豆腐の楽しみを隣人と分かとうとして労苦する女性である。以前は浜に下りて海の水を汲んで還ったそうだ。松風村雨の昔とても、潮を汲むわざはそう風流ではなかったはずである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。