豊後の炭焼がひとりで開いた新道
どんな伝承か
佐多の島泊は、磯山川の川尻にわずかな家が固まる漁村である。伊座敷の町からこの島泊へ来るには、以前は一番高い山の八合目あたりまで登って越えるのが近道で、それが唯一の道だった。ところが隣の西方区を通る一間幅の路を、自分ひとりの力で新たに開いた者がいる。豊後から流れてきた炭焼だと聞いて、柳田国男は古い物語のようだと喜んだ。この男は十何年の倹約でこしらえた家屋敷を売り払い、それでも費用が足りずわざわざ故郷まで金を取りに帰ったという。できあがった新道の片端に、炭焼小五郎の小屋のようなものを建てて住んでいる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。