川平マユンガナシの牛馬繁昌神口
どんな伝承か
川平は八重山郡石垣島の西岸に古く開けた農村であって、そこへ旧暦八月の節の日の深夜に、大海の彼方の国から訪れて来て年々の豊産と繁栄とを祝福する神が、マユンガナシまたはマヨの神であった。遠い昔からの約束によって、一定の条件を備えた若者がこれに扮し、その言葉はもとより秘密であった。新たに採集された神詞の中で、意味も大よそわかり文芸としても鑑賞に値するのは牛馬の繁昌を祈念した神口で、「いば路に出て追うば、昔シダマのゆんなしゆり」の一節がある。細い野路を一頭ずつ長々と続いて行く牛の行列を、緒に貫いたシダマの珠にたとえ、その豊かな繁殖を真世の神の恩徳に期待したものかと思われる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。