土中で祈り続けた法印の塚
どんな伝承か
韮崎市の英和幼稚園の裏手に、小さな石塔とそれを囲む数々の大石がある。今でこそ開田され周囲も宅地になったが、戦前まではたたりのある場所とされ、一面に雑草の生えた不気味な一角で、法印塚と呼ばれていた。ある年、凶作と疫病に苦しんだ韮崎宿の人々が、法螺貝を吹いてやって来た法印に祈祷を頼んだ。法力の強いこの法印は三日三晩断食して祈ったが効き目がない。そこで村人に頼んでこの地に穴を掘らせ、わずかな水と生米だけを持って入り、竹筒で空気を通しながら祈り続けた。十日目に、地下から響いていた鐘の音が消えた。翌年、疫病は去って村は豊作に恵まれた。村人は法印の徳をたたえ、穴の上に塚を築いて供養塔を建てたという。
原典より
今の英和幼稚園の裏に一つの小さな石塔とそれを囲む数々の大石がある。—— 韮崎市の民話伝説(昭和四十二年(1967)刊) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
韮崎市の民話伝説(昭和四十二年(1967)刊)
山梨県韮崎市(穴山・穂坂・清哲・神山・大草・藤井・竜岡・中田・円野ほか各町)に伝わる伝説・民話を、木/石/水/塚/坂・峠/山/谷・沢/屋敷跡・城址/祠堂/その他 の各部門に分類して集成する。武田信玄・勝頼ら甲斐武田氏や新府城にまつわる伝承、日本武尊・源為朝・弘法大師の旧跡、御神木や霊石・霊池の怪異、稲荷・地蔵・観音の霊験、狐狸むじな・河童・鬼の昔話など、韮崎の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を地区つきで網羅する。