ヤスリでモリを切った下郡の仁王どん
どんな伝承か
昔、下郡に仁王どんと呼ばれる大男が住んでいた。南の島に角力の強い者がいると聞き、勝負を挑みに出かけることになる。家を出るとき、父が役に立つからと言ってヤスリを持たせてくれた。島に渡った仁王は島一という大男と組み合い、これを打ち負かした。ところがその夜、島一の妻がどこの馬の骨とも知れぬ者に負けてどうするのかと夫をけしかけているのを耳にする。長居をしては命が危ういと悟った仁王は、こっそり小舟を出した。追ってきた島一が舟にモリを打ち込んで手繰り寄せようとしたが、仁王は父にもらったヤスリでモリを断ち切り、無事に帰ることができたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第14巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全75話(熊本・宮崎・鹿児島=南九州)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。