大宮姫
どんな伝承か
むかし、岩屋で生まれた、それはそれはきれいなお姫様がおられた。この姫は鹿から生まれた人だという話で、顔や体はほかの女と変わらないのに、足の爪が鹿の爪であった。足袋をはいておられたので、その爪を見た人はなかった。都に出て天子様の奥方になられてからも、どんなに暑い時でも足袋を脱がれなかった。ところが、それをねたんだほかの女中たちにとうとう足袋を脱がされ、「鹿の爪ぢゃ」「牛の爪ぢゃ」と騒がれたので、恥ずかしいやら悔しいやらで逃げ帰って来てしまわれた。以後はモッテゴゼン、タテガミゴゼンという二人の女中が世話をしたという。鹿児島という名は、この姫の生まれたこのあたりの名、鹿の子の国ということだと伝わる。
原典より
むかし、むかし、ずうっとむかしのこと、岩屋で生まれた、それはそれはきれいなお姫様がおらったちゅ。—— 日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第14巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全75話(熊本・宮崎・鹿児島=南九州)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。