鉤を求めて海神の宮へ渡った弟神
どんな伝承か
兄の火須勢理命は海の幸を、弟の彦火々出見尊は山の幸を得る力を持っていた。ある日、二人は道具を取り替えて互いの猟場へ出かけたが、どちらも獲物を得られず、そのうえ弟は兄の大切な鉤をなくしてしまう。刀を潰して数多くの鉤を作り償おうとしても兄は許さず、途方に暮れて浜辺をさまようところへ塩土翁が現れる。教えられたとおり目無籠に乗って海神の宅へ着いた弟は、綿津見神の娘豊玉姫を妻とし三年を過ごしたが、鉤のことを思い出して打ち明けると、集められた魚のうち赤目の口から鉤が見つかった。別れに際して干珠と満珠を授かった弟は国へ帰り、なおも兄が苦しめるので珠を用いて攻め、また救った。兄はついに降参し、子々孫々まで朝廷の守護人として仕えると誓ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第14巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全75話(熊本・宮崎・鹿児島=南九州)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。