蝮の銀右衛門
どんな伝承か
貧しい農夫が、毎日馬に薪をつけて町へ売りに行っていた。或る年の師走、薪を売って正月の支度をし、釜無河原を帰ってくると、馬が急に跳ね上がって進まなくなった。見ると十一、二の子供が馬の尾にすがっている。馬方が山刀で切りつける真似をすると子供は逃げたが、家で馬を洗おうとすると、猿のようなものの腕が尾房を掴んだまま斬られていた。その夜、外から子供の声で呼ばれる。自分は釜無川の河童で、馬の尾を一筋持てば妖術が得られるためにああしたのだ、腕を返してほしいという。妻に諫められた馬方は、腕を接ぐ妙薬の処方と引き換えに腕を返した。その薬は金瘡によく効き「下条の疵薬」として有名になり、馬方は富裕になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。