廃寺の狸が村にもたらした祟り
どんな伝承か
町田市の小山田にある谷戸に、清長寺という小さな山寺があった。庫裡の床の間には狸を描いた古い軸が掛かっており、その床下にいつからか二匹の狸が棲みついた。姿は軸の絵とそっくりだったという。住持は狸を追わず餌を与えて可愛がったが、ある夏、旅の僧と連れ立って出たまま戻らなかった。寺は廃され、庫裡は檀家の家へ移されると、狸もそこへ移り住んで荒れはじめる。やがて村では不審火や高熱、手足の痛みが続き、狸の祟りだと恐れられた。村人が念仏講を盛んにして狸を供養すると、災いはやんだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。