網代寺
どんな伝承か
古海山と号し、本尊は千手観音、長さ一尺余で閻浮檀金であるという。大同元年三月十八日、漁翁が網を携えて小船で沖に出たところ、にわかに波濤が荒れ狂って船が震えたが、しばらくして風波は静まった。遥かに海上を望むと一つの岩の上に仏の尊像が現れていたので、舟を漕ぎ寄せて礼拝し、尊像を舟に遷して家に帰った。この島をのちに観音嶋と名づけた。親族や村人は驚き敬って草堂を建てて安置し、やがて来た一人の僧が隠岐国に渡って材木を用意し、「古海山観音の用材也」と書き付けて流したところ、一本も漂失せずことごとく網代の浜に着いた。こうして伽藍が成り、古海山網代寺と号したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第11巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全56話(鳥取・島根=山陰)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。