やりこ渕
どんな伝承か
昔、小鹿村に弥六という樵夫が住んでいた。山へ行った村人が次々に帰らず、魔物にとられたとうわさされたので、気丈な弥六は正体を見届けようと奥山へ入った。渓谷の大きな渕のほとりの岩で弁当を食べていると空が急に暗くなり、蜘蛛の糸が下がって絡みつく。見上げると大蜘蛛がいた。弥六は糸を払って逃げ帰り、氏神に七日の願をかけると、満願の夜に一丈余りの大蛙と化した。再び渕で大蜘蛛と闘い、危ういところで糸を断ち切って渕に落ちると、黒雲から金竜が現れて蜘蛛を呑んだ。大蛙は村の見える山上で石となり、今も厳峯寺山上に蛙岩として残る。弥六が蜘蛛を退治した渕を弥六渕と呼ぶという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第11巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全56話(鳥取・島根=山陰)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。