赤雁に乗り五穀を運んだ乙子狭姫命
どんな伝承か
神代の昔、日本海の空を赤い雁が飛び、その背に小さな女の子が乗っていた。乙子狭姫命である。姫は母の遺言に従い、米・麦・キビ・アワ・豆の種を携えて韓の国を発ち、東の倭国を目指した。途中、益田沖の高島に降りたが、島の神に自分は肉を食うから五穀などいらぬと拒まれ、また飛び立つ。やがて益田にそびえる比礼振山を住まいと定め、そこを拠点に里々を回って稲やアワの種を村人へ分け与えた。以来この国は実り豊かになったという。姫の住んだ山を狭姫山、雁のいた地を赤雁、初めて種を分けた地を種と呼ぶのは、この話にちなむ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第11巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全56話(鳥取・島根=山陰)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。