波瀬村の起原
どんな伝承か
波瀬の地がまだ海の底だった大昔は人間も少なく、地獄へ行く亡者も少なかったので、鬼どもは飢えて娑婆へ出て海の魚を捕って食った。仏陀は鬼の餌となる魚を憐れみ、人の姿となって小島の一番高い所にある鬼の居室を占領し、漁の邪魔をした。困った鬼は遠矢で射落とそうと大岩の上に立ったが左足が岩に刺さり、浮かんでいた大亀に右足をかけると亀は沈んで右足も背中にめり込んだ。それでも矢を放ったが法力でそれ、飛んだ土の落ちた低地が今の矢下だという。仏陀は鬼を組み敷いて地獄へ追放し、矢を折って海を東へ流して一帯を野原にした。その水が流れる時に波が大いに瀬立ったので波瀬と称えたと伝える。矢の当たった山を矢頭山、足をかけた亀はどん亀岩に化したという。
原典より
この波瀬村の地がまだ海の底であった大昔は人間も少なかったため、地獄へ行く亡者も少なかった。—— 日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第9巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全100話(奈良・大阪・和歌山・三重=近畿南部/紀伊)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。